当科は初代科長の菅澤 正教授のもと埼玉医科大学に2005年7月に開設された頭頸部腫瘍専門診療講座です。2007年4月からは現在地の日高市に設立した国際医療センター包括的がんセンター内の診療科として上縦隔より鎖骨上で脳腫瘍・脊髄腫瘍などを除く全ての腫瘍性疾患を治療対象としています。2022年4月からは中平光彦教授が科長を引き継ぎ運営にあたっています。当科における最大の特徴は治療方針にあります。頭頸部臓器は呼吸、嚥下およびコミュニケーションなどの生命維持・社会生活に密接に関連する部位です。そのため治療においては手術治療を基本としていますがそれにとらわれることなく、放射線治療、化学療法などを積極的に取り入れ、機能温存を追求しています。当科は、頭頸部外科、頭頸部内科、歯科口腔外科の専門医が在籍しておりさらに形成外科、放射線腫瘍科、外科、脳外科などの他診療科と連携し頭頸部癌集学的治療チームの要として機能しています。 

　埼玉県には頭頸部癌専門病院は当院と埼玉県立がんセンターしかないため、埼玉全県、東京都多摩地区から多数の患者さんが当科に受診されています。そのため大学病院としては全国屈指の症例を誇っています。2022年度の診療実績データとして主要な項目では、新入院患者数　671人、退院患者数　673人、在院患者数　9,393人、延入院患者数　10,066人、手術件数　451件、外来患者数 (休日を含む)　14，235人、外来患者数 (休日を除く)　14,229人、一日平均外来患者数　48.6人、新患数　744人 (悪性腫瘍398人) です。